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不安 [食道がん]

1月12日(土)
 休日なのに、相変わらず気分は晴れない。大きな不安を抱えているのだから当たり前のことだろう。
 手術か、放射線化学療法か…。いや、もう手術はしないとほとんど決めている。ただ、放射線化学療法を受けた際の不安が大きいのだ。S医師にお願いしてまずは内視鏡での切除を受ける。そのダメージは小さいが、それからあとの入院は副作用に苦しむことになるのか。経験したことがないから想像もつかないが、とても苦しいし脱毛もあると聞く。
 5週間入院して自宅療養で1カ月くらい、2カ月以上は会社を休むことになる。決して仕事人間ではないが、いろいろと懸案事項を抱えていて情けないことにそれも気になる。それからは元気になるらしいが、再発の不安におびえながら過ごし、将来は心臓や肺に障害があらわれる可能性もある。

 それでも人生は何が起きるか分からないものだ。手術したって再発も合併症もあり得るのだ。もうなるようにしかならないと割り切って、楽しく生きることでがん細胞をたたいていくのがいいのかもしれない。

 きょうは妻がパワースポットといわれる2カ所の神社でお守りを買ってきてくれた。感謝しながら早速バッグの中に入れた。こんな家族の支えはつらい時にはとてもありがたいと思う。

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決断できない [食道がん]

1月10日(木)
 消化器外科で面談の日。妻と9時前に大学病院へ着いた。診察室に通され、K医師と向かい合う。「どうですか?」「気持ちは落ち着いてきましたが、手術か放射線化学療法かまだ決められないんです」。
 ステージを聞くと、画像を見せながら食道の全周の3分の2ほどにがんが広がっており、実際に手術でがんを取ってみないと本当のステージは分からないらしい。がんが粘膜下層に広がっているSM2かSM3ではないかとのことだった。内視鏡で最初にがんを切除し放射線化学療法で治療する方法などを聞いたりするやり取りの後、K医師の計らいで上司のT医師が詳しく話してくれるという。

 T医師も物腰の柔らかい人物だった。絵を描きながら手術の方法を丁寧に話してくれた。合併症などを防ぐため2回に分けるが、こちらの要望があれば1回でも可能だという。10時間ほどの大手術になるらしい。まあ想定内だ。
 そして大腸で再建する食道はあばら骨の前、つまり食道が体の表面にぽっこりと浮き上がるグロテスクな見た目になる。ただ、これも希望があれば通常の食道の場所に再建するのは可能だと言った。しかし、何か問題が起きたときは治療が難しくなるとのことだった。
 T医師は腕のいい外科医のようで、これまでの手術で縫合不全などの例はないと安心感を与えてくれた。そして手術の方がリスクは低いと、あらためて説明を受けた。最初に内視鏡による切除をするくらいなら、初めから放射線化学療法をやった方がいいとも言われた。そう簡単には決められないから放射線の医師に話を聞きたいと伝えると、自ら来週に予約を取ってくれた。

 外科医の話を聞くと手術の方が安心な気がしてくるが、体の大改造手術をしてしまうとそう簡単に元の生活に戻れるとは考えられない。体重はぐっと減り、体力は落ち、食欲減退などが続く。時間とともにそれなりの生活はできるようになるのだろうが、普通の食道がん手術経験者よりもすべてが大変なのは想像に難くない。不自由さを感じながら年を取っていくことになる。何より体が元気でなければ心も元気にならないのではないか…。そんな不安が消えない。
 一方、放射線化学療法は医師の話では30%は再発するという。しかし、体は元通りになる。もちろん治療中は副作用に苦しむし、将来肺や心臓に問題が起きる可能性も否定できない。再発の不安にもおびえなくてはならない。

 いま58歳。もう若くはない。これからほかの病気も必ず出てくるはずだし、事故なども含めて何が起きるか分からない。そう考えると少しでも体が元気なうちに人生を楽しんだ方がいいのではと、手術に踏み切れない自分がいる。

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逆転ならず [食道がん]

1月8日(火)
 2019年が明けた。年末に食道がんの告知を受けてあまりよろしくないと言われていただけに、暇があればネットで情報を集めたり患者のブログを読んだりしていた。おかげで多少は知識が増えたが、知るほどに大変な病気なのだと怖くなっていた。

 そして、いよいよ大学病院での精密検査の日。受け付けを済ませ、内視鏡の検査へ。時間がかかるということので妻はいったん帰宅。まずは大腸カメラのため、下剤を飲まなくてはならない。ニフレック2リットルを2時間かけて飲み、さらに追加してようやくOK。病衣に着替えて検査室へ通された。
 ベッドに横になると、マウスピースをくわえさせられた。えっ、いきなり胃カメラ? 口をもぐもぐさせると外されたので「麻酔強めでお願いします」と訴えた。どうやら胃の後すぐに大腸を検査するらしい。麻酔の点滴をされ、胃カメラが入るとオエッ、オエッと2回苦しんだせいで麻酔を追加され、すぐに意識が飛んだ。目が覚めたときは胃も大腸も検査が終わっており、こんなに楽な内視鏡カメラは初めてだった。しばらく休んでいると妻がやってきて、一緒に消化器内科医の説明を聞きに行った。

 

 S医師はとても丁寧だった。粘膜外へと浸潤していて内視鏡での切除は無理、外科手術を勧めたいと言った。そして画像を見ながらけっこう広がっているし、将来がん化しそうな部分もあるとのことだった。こんな説明を受けてもそれほどショックを受けなかったのは、いろいろな情報を誌仕入れていてある程度の覚悟があったからだと思う。陽子線治療について尋ねると、実績が少ないことを理由に勧めてはくれなかった。S医師は「若いから手術には耐えられますよ。セカンドオピニオンを受けるなら紹介状も書くし、どうしてもというのなら内視鏡での切除もします」と励ましてくれ、気になるステージはⅠだと言った。

 この後、消化器外科のK医師のところへ。内視鏡が無理なら外科手術か放射線化学療法になるわけだが、K医師は外科なので主に手術の話になった。食道切除のあとは腸ろうを付けて1カ月療養、その後大腸で食道再建になるというこれまで通りの説明だった。2度に分けず一度でできないかと尋ねると「2回の方が合併症の心配は少ない。セカンドオピニオンを受けるなら他の病院にも優秀な医師がいるから調べておきましょう。うちの病院でも1回でできないのか、他の先生と話してみます」と親切に言ってくれた。そして2日後にまた来院することになった。


 現実は残念だけど仕方がない。どういう治療を選択するべきか、じっくり考えたいと思う。気持ちは完全には吹っ切れたわけではないが、タイムマシンに乗れるわけじゃないので後ろ向きに考えるのだけはやめたい。きっと大丈夫だ。

 

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夢なら覚めてほしい [食道がん]

12月29日(土)
 きょうから仕事は休み。年明けの4日が出勤となるが、こんな気分だから今はもう少し休みたいと思ってしまう。

 きのう、大学病院で手術、放射線化学療法の話を聞いてから、きょうもずっとそのことばかりを考えていた。まだ内視鏡検査が終わっていないから決まったわけではないけど、ステージ1だった場合、まずは食道の切除。退院後1か月は腸ろうと唾液が出る管を首に付けて過ごす。そのあと腸で食道を再建するという。これって、入院中も退院後も相当きついに違いない。すっかりやせて筋力とともに体力は落ちるだろうし、食事も満足には取れないだろう。普通の生活には戻れないと思う。何より、いまは元気なのに手術によって見た目も中身も生活もガラリと変わることが納得できない
 
手術でなければ放射線化学療法となるらしいが、K医師は30%再発の可能性があると言っていた。5週間って言っていたかな、入院しての治療は副作用との闘いになるだろう。これもきつそうだな…
 どちらを選択しても大変だが、胃が半分しかない自分には手術の方がきついんじゃないかと思う。いずれ再発したら食道を温存していた方が場所によっては大変になるとも聞く。当たり前だがどちらも嫌だ。内視鏡で切除できるよう、粘膜内にとどまっていることを願いたいものだ。

 そんなことばかり考えながら、ネットで改めて近藤誠医師のがん放置論を読んだ。その主張を読むと、放置してもいいんじゃないかと思ったり、放射線療法だけでもできないかと思ったり。あれこれ悩んで気持ちは沈んだままだ。

 

 夢なら一刻も早く覚めてほしい。

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一転 [食道がん]

12月28日(金)
 大学病院を訪ねた。午前9時前には着いて終わったのは午後3時を過ぎていた。いい話が聞けず気分が沈んでいる。

 外科のK医師はとても気さくな感じのいい人だった。飲酒や喫煙、酒を飲んだら顔が赤くなるかなどと想定内のことを質問してきた。とりあえず内視鏡でもう一度検査する必要があると言って、血液、レントゲン、CTまでの検査を済ませた。この時点で昼は過ぎており、一緒に来てくれた妻とどこでランチして帰ろうかなどと相談し、軽い気持ちで再びK医師の診察を受けた。CTを見る限りは転移はなさそうで、内視鏡検査の予約を取る意味でも担当する医師に診察してもらうことになった。

 消化器内科のS医師は30代後半ぐらいだろうか。紹介状だけでは何も分からないと言いながらK医師と同じような質問をして、飲酒習慣が良くないので禁酒を勧められた。そして内視鏡検査では麻酔をそれほど使えないとか、大腸検査でポリープを除去するかとか、淡々と話すのでそれが冷たく聞こえて落ち込んでしまった。それからUクリニックの画像データを見て
「内視鏡ではなく手術を勧めますね。盛り上がっているし、範囲が広い」

 いきなりこう言われたのでさすがに衝撃を受けた。手術の方法などの説明もしてくれたが、突き落とされた気分になってしまった。結局は内視鏡での精密検査をしないと分からないということだ。仕事が詰まっているが年明けの予約を済ませ、またK医師の診察室へ。

 「どうでしたか?」とまずは心配してくれ、内視鏡で切除できない場合は手術か化学療法になり、入院期間が長くなるということだった。さらに外科医と相談したが、胃を半分切除しているためまずは食道の切除、腸ろうでの1カ月後に大腸で食道を作る手術になるという。手術となれば考えていた以上に大変なことになってしまい、日常生活にも支障をきたすようになるだろう。
 K医師はとても親身に話してくれ、パソコンを使っていろいろ説明もしてくれた。そして現段階では転移がない、深さでステージが決まると言った。浸潤していれば内視鏡はなくなるということだ。ありがたいことに相談があったら来てほしいと何度も言ってくれ、紹介してくれたU先生にも電話をしておくとのことだった。


 ほかにもいろいろな話を聞いたが、悪い話ばかりだったような気がする。病院としては期待を持たせてはいけないのだろうが、気分が沈むのは仕方がない。長い時間付き添ってくれた妻も暗い気持ちになったはずだ。
 さあどうする?といってもどうにもならない。
 内視鏡検査でいい結果が出ることを期待するしかない。

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