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決断できない [食道がん]

1月10日(木)
 消化器外科で面談の日。妻と9時前に大学病院へ着いた。診察室に通され、K医師と向かい合う。「どうですか?」「気持ちは落ち着いてきましたが、手術か放射線化学療法かまだ決められないんです」。
 ステージを聞くと、画像を見せながら食道の全周の3分の2ほどにがんが広がっており、実際に手術でがんを取ってみないと本当のステージは分からないらしい。がんが粘膜下層に広がっているSM2かSM3ではないかとのことだった。内視鏡で最初にがんを切除し放射線化学療法で治療する方法などを聞いたりするやり取りの後、K医師の計らいで上司のT医師が詳しく話してくれるという。

 T医師も物腰の柔らかい人物だった。絵を描きながら手術の方法を丁寧に話してくれた。合併症などを防ぐため2回に分けるが、こちらの要望があれば1回でも可能だという。10時間ほどの大手術になるらしい。まあ想定内だ。
 そして大腸で再建する食道はあばら骨の前、つまり食道が体の表面にぽっこりと浮き上がるグロテスクな見た目になる。ただ、これも希望があれば通常の食道の場所に再建するのは可能だと言った。しかし、何か問題が起きたときは治療が難しくなるとのことだった。
 T医師は腕のいい外科医のようで、これまでの手術で縫合不全などの例はないと安心感を与えてくれた。そして手術の方がリスクは低いと、あらためて説明を受けた。最初に内視鏡による切除をするくらいなら、初めから放射線化学療法をやった方がいいとも言われた。そう簡単には決められないから放射線の医師に話を聞きたいと伝えると、自ら来週に予約を取ってくれた。

 外科医の話を聞くと手術の方が安心な気がしてくるが、体の大改造手術をしてしまうとそう簡単に元の生活に戻れるとは考えられない。体重はぐっと減り、体力は落ち、食欲減退などが続く。時間とともにそれなりの生活はできるようになるのだろうが、普通の食道がん手術経験者よりもすべてが大変なのは想像に難くない。不自由さを感じながら年を取っていくことになる。何より体が元気でなければ心も元気にならないのではないか…。そんな不安が消えない。
 一方、放射線化学療法は医師の話では30%は再発するという。しかし、体は元通りになる。もちろん治療中は副作用に苦しむし、将来肺や心臓に問題が起きる可能性も否定できない。再発の不安にもおびえなくてはならない。

 いま58歳。もう若くはない。これからほかの病気も必ず出てくるはずだし、事故なども含めて何が起きるか分からない。そう考えると少しでも体が元気なうちに人生を楽しんだ方がいいのではと、手術に踏み切れない自分がいる。

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